歯茎が黒い差し歯の治療法
歯茎が黒い差し歯について
歯茎が黒い差し歯の治療写真

一般的に、差し歯の周りの歯茎の色が黒くなってしまっている方は、多くいらっしゃいますが、ほとんどの方は、差し歯の周りの歯茎の色は黒くなるのが普通だと思って、諦めている方が多いと思います。

しかし、実は差し歯の周りの歯茎の色が黒くなるのには、きちんとした原因があり、その原因を取り除くことによって、差し歯の周りの歯茎の色や状態を改善することができるのです。

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歯茎が黒い差し歯の原因

一般的な差し歯の作り方は、歯の神経が無い場合、歯の根に金属の土台を立て、その上に表面がセラミック、内側が金属の被せ物を被せます。

ところが、差し歯の周りの歯茎の色が黒くなってしまう主な原因は、この土台や被せ物に使われている金属によるところが多いのです。

ほとんどの心棒や被せ物の内側の金属には、何種類かの金属が混ざった合金が使われていますが、その合金の中の銀が、差し歯の周りの歯茎の色を黒くしている大きな原因です。

差し歯は、表から見るとセラミックで覆われているので、一見、内部に入っている金属は、歯茎に触れていなくて、無関係と思われますが、実は、歯と差し歯の堺は、セラミックではなく、金属なので、この部分で歯茎と差し歯の内面の金属が触れているのです。

歯茎は常に濡れていますので、その部分に金属が常時触れていると、金属イオンが歯茎の方へ溶け出してきます。

そしてこの金属イオンの中でも、特に銀のイオンが歯茎を黒くしてしまう作用が強いのです。一般的には、歯茎はこの銀イオンを嫌いますので、歯茎が黒くなったあと、多くの場合、歯茎が下がって差し歯と歯の堺が露出して歯の根が見えてしまう場合もあります。

また、土台に使われる金属の心棒も、歯の内部なので、一見歯茎と関係が無いように考えらえますが、これもまた、銀イオンが歯の根の象牙細管という象牙質の中の細い毛細血管のような細管に入り込んで、歯の根を黒く変色させることがあり、この色が歯茎を黒くさせる一因になる場合があります。

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歯茎が黒い差し歯の治療法

基本的に、歯茎が黒い差し歯の治療法は、差し歯に使われている金属を非金属に変えることが中心になります。

また長年、歯茎に銀イオンが溶け出している場合には、土台や差し歯の金属を変えても、歯茎の色がすぐには回復しない時もあります。

その場合には、歯科用レーザーを使用して、歯茎の中の黒い色素を取り除く処置を併用します。

歯の根の土台を非金属の物の変える

歯の根の土台を金属製の物から、ファイバー樹脂の心棒など非金属の心棒へ変えることによって、金属イオンの象牙細管への 溶け出しを止めることができます。

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差し歯の内側に金属が使われていない差し歯に変える

歯し歯を内側に金属が使われている物から、ジルコニアオールセラミッククラウンのような金属が全く使用されていな物の変えることによって、金属イオンが歯茎に 溶け出すのを止めることができます。

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歯科用レーザーで、歯茎の色素を取り除く

土台や差し歯の銀イオンを取り除いても、歯茎の色がなかなか改善しない場合には、歯科用レーザーを使用して、長年蓄積した歯茎の色素を取り除く方法を併用します。

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歯茎が黒い差し歯の治療例 (53歳女性)
歯茎が黒い差し歯の治療前

差し歯をした歯茎が黒くなってしまったのを治したいといらっしゃった方です。 非常にはっきりした黒い線が歯茎に現れていて、前歯のために恥ずかしくて、歯を見せて笑うことが出来ない状態でした。

また、写真の向って右側の差し歯も、歯茎が上に上がってしまい、差し歯と歯茎の堺が見えてしまっている状態でした。

3本の差し歯を確認したところ、差し歯の内側には、銀を含む合金が使用されていて、その銀イオンが歯茎と接するところから、歯茎へ溶け出して歯茎を黒くしている可能性が高い状態でした。

またレントゲンで確認したところ、歯の根の心棒には金属の心棒が使用されていて、その銀イオンが歯の根の象牙質の細管に入り込んで、根を変色させている可能性が高い状態でした。

お話を聞くと、右側の2本の差し歯も以前は歯茎が黒く変色していたそうですが、しばらくすると歯茎が上に上がって変色が無くなった変わりに、歯の根が見えてしまったそうです。

歯茎が黒い差し歯の治療後

写真は、治療後の状態です。3本の差し歯の土台を金属を使っていないファイバー樹脂の心棒に変え、差し歯も金属を使用していないジルコニアオールセラミッククラウンで作り直しました。

上記の処置をしたところ、歯茎の黒ずみは、だいぶ解消しましたが、長年歯茎が黒かったため、色素が歯茎に残っていて、完全には色が取れませんでした。

そこで、歯科用レーザーを使用して色素を取り除いたところ、歯茎の黒い色素がほぼ完全に取れ、きれいな歯茎に戻り、人前でも思いきり笑えるようになりました。

歯茎が黒い差し歯 (47歳女性)
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歯茎が黒い差し歯治療前

数年前に入れた前歯の差し歯の歯茎が黒くなってしまい、歯茎も上がって根が見えてきてしまったとのことでいらっしゃった方です。

2本の差し歯は、内側に銀を含む合金が使用され、土台も金属を使っていることから、その銀イオンが歯茎と接するところから、歯茎へ溶け出して歯茎を黒くしているようでした。

患者さんのお話では、差し歯を入れたすぐ後から、歯茎が黒く変色し始め、しばらくすると歯茎が上に上がって、歯の根が見え始めたそうです。

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歯茎が黒い差し歯を外した状態

写真は差し歯を外した状態です。

向かって右側の土台は、周りが虫歯になっていて差し歯を外した時点で、取れてしまいました。

左は金属の大きな土台が入っています。

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歯茎が黒い差し歯治療後

そこで、2本の差し歯の土台を金属を使っていないファイバー樹脂の心棒に変え、差し歯も金属を使用していないジルコニアオールセラミッククラウンで作り直したところ、歯茎の黒ずみは、ほとんど解消しました。

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